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こたろう博物学研究所
探訪記録:20010602

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杉立山登山(松山市)【平成13年(2001)6月2日】


 (雑記)


お手軽登山にでも洒落込もうと、奥道後遊園地のある杉立山へと向かう。

14:00、奥道後ロープウェイ前に到着。
からくり時計がもうすぐ毎正時の活動を開始しようとしている。
このからくり時計は「伊予水軍早変わり人形」。玉屋庄兵衛氏により製作されたものである。

ロープウェイは往復1,000円もする。入園料500円を加えると手痛い出費である。
車を引き返し、湯山小学校のやや北のところにある「大師寺」の看板のところで左折し、車1台がやっとの道を山に向かって進む。
やがて小さな川にかかる橋を渡ると華厳宗日高山・大師寺が見えてくる。大師寺よりやや上のところで、これ以上は軽自動車でも進めないほどのコンクリート舗装道に変わる。

大師寺のやや下手の路傍に車を停めて、14:18登山開始。
最近はここからの登山者が多いのだろうか。そして、マナーの悪い人が増えたせいなのか、大師寺の建屋の中には「登山者トイレ使用お断り」の貼り紙が貼られている。

しばらくはヒノキ植林と竹林が延々と続く。葉が上方の空を覆い隠し、薄暗い森の中といった感じだ。

14:50、やっと上方に青空が見えてきた。目の前に頂にアンテナを携えた山の姿が見える。まだまだ先は長そうである。

やがて見覚えのある梅林が眼前に現れた。確か4〜5年前、青波町側から車で上ってきた場所である。以前この峠から今来た道を下りていこうと試みたのだが、車幅が狭すぎてバックで引き返した思い出の場所だ。

15:01、榎ヶ峠到着。
この辺りは松山市水道水源保護区域に指定されている。
五叉路を北西に折れていくと僅か4〜5件の民家があるだけの鄙びた集落がある。右手にこんもりとした社叢林らしきものが見える。民家の下に続く細道を行くと、石垣の下に赤いシモツケの花が一輪。

15:10、貴布禰神社到着。
待ち構えた狛犬の口は赤く塗られており、何やら不気味な感じがする。
境内へと足を運ぶと、大きな杉が1本。台風で上部は損壊しているが、太い幹は、しっかりと境内社地に根を下ろしている。
取り巻く社叢林はなかなか立派なもので、巨木も多く、原生林さながらの様相を呈している。
拝殿も一応チェック。内部には「貴布禰大明神」「諏訪大明神」「住吉大明神」の3つの額がかけられている。

日と取り、境内を散策して参道入口まで戻る。地図ではここから杉立山経由石手川ダム堤へと続くルートが記されているのだが、薮に覆われて進めそうにない。仕方ないので来た道を引き返す。
ふと足元を見ると、オドリコソウが咲いている。

15:19、再び榎ヶ峠へ。本来の目的地である杉立山への入口・奥道後遊園地へと延びる林道を行く。

15:29、ちょっとした広場になっているが、この先はゲートが閉じている。「一般の人立入禁止、勝手に入ると処罰する」といったことが書かれた看板が扉脇にかけられている。このゲートの脇から小道を登る。

15:31、奥道後ロープウェイの山頂駅に着く。奥道後山頂680m。ここからは松山平野が一望できる。石手川がまっすぐに市街地を突き抜けているいるのが見える。遠く忽那七島の姿も見える。南方へと目をやれば、松山平野の伊予三山、皿ヶ嶺連峰の姿も目に入る。缶ジュースを一息に飲み干し、眼下の景色を堪能する。
あちこちで鳥の囀りが聞こえる。何とも長閑な気分である。
奥道後遊園地で見られる鳥たち
ヤマガラ(シジュウカラ科)
・分布:ほぼ日本全土。時に本州西南部。四国、九州に多い。
・季節:留鳥で年中見られる。
サンコウチョウ(ヒタキ科)
・分布:本州以南。四国、九州、沖縄県。
・季節:繁殖地に夏鳥。4月下旬に現れ、9月下旬まで。
マヒワ(アトリ科)
・分布:日本全土。
・季節:大部分は冬鳥。10月頃現われ5月頃まで。
ルリビタキ(ヒタキ科)
・分布:本州中部以北。北海道の亜高山帯に繁殖。石鎚山等。
・季節:繁殖地では夏鳥。5月から11月頃まで。
ツグミ(ヒタキ科)
・分布:ほぼ日本全土。特に本州中部、北部に多い。
・季節:10月下旬から5月頃まで。
オオルリ(ヒタキ科)
・分布:九州以北、北海道までに繁殖。
・季節:繁殖地では夏鳥。5月〜9月頃さえずり盛ん。
トラツグミ(ヒタキ科)
・分布:ほぼ日本全土に繁殖する。

15:36、白バラのトンネルを抜ける。草刈り真っ最中の細道を上っていくと、荒れ果てた遊園地がある。万国旗に彩られてはいるものの、訪れる人もなく、ただ侘しさを漂わせている。その遊園地の脇を抜け、車道へと出る。

車道を5分ばかり歩くと、やがて大きなアンテナが目に映る。建設省杉立中継所である。15:42到着。
車道はここで途切れる。中継所の後ろへ回り込むと、杉立山三角点へと向かう登山路がある。赤テープが小枝に巻かれているので、入口は容易に確認できる。

ここから最初のピークまでは雑木帯が続く。やがてヒノキ植樹帯に入ると小高いピークに辿り着く。道はここから二手に分かれるが、右側は行き止まり。左側に折れ、ヒノキ林の鞍部に入り、次に迎えるピークが三角点所在地である。

15:53、三角点到着。クヌギなどの落葉樹林とヒノキ植林の間にひっそりと三角点が埋まっている。山名を示すものは全くない。山頂からの展望は木々に遮られて全く利かない。「とても静かな山だ」としか形容しようがない。夏場が近いせいか虫が多い。特に薮蚊が時折露出した肌に止まって吸血作業をおっぱじめてしまうのが腹立たしくなってくる。煙草に火をつけ「どうだ!蚊取り線香を炊いたぞ!参ったか!」などと燻して蹴散らそうと試みるが然程効果はない。余り長居する気分にもならず、結局5分ほど滞在して下山に移ることにする。

来た道を折り返し、ゆっくりと下っていく。中継所を通り過ぎ、車道に入ると、来る時には余り気にもならなかったのだが、あちこちに白いアジサイ状の花が咲いている。葉の形から察するにノリウツギ(糊空木)であろう。

続いてキイチゴの実が道の上部に垂れ下がっているのを発見。甘酸っぱい黄色の果実をいっぱいつけている。これを一人占めしてむさぼることができるのだから、とても得した気分である。

道の脇にはまだ旬の季節を迎えていないアジサイが多数植えられている。あと1ヶ月もすればさぞかし綺麗な花をつけるのだろう。

16:15、再び展望台へ。
山頂の喫茶店は早くも閉店状態。一時期の華々しさは無く、閑散状態だから止むを得ないところではあろう。従業員も暇を持て余し、芝生の散水などに勤しんでいる。
 
奥道後ロープウェイ
三線交走式普通索道
線路長1,168m
高低差476m
最大乗車人員41人
竣工昭和39年
始発10:00、終発16:45、この間30分間隔で運行されている。

夕焼けでも見ようかと、ロープウェイ乗り場の脇のベンチに腰掛けていると、ロープウェイの乗務員(嬢)が、「乗られますか?」と声をかけてくる。なるほど、終発は16:45。まさか歩いて登ってきた人がいるとは、乗務員も思いもしなかったであろう。「いいえ、歩きですから」と親切に対して丁重に御礼する。
 
山頂野外ビアレストラン(7/1〜9/2)
ジンギスカン、ジャングル温泉入浴、ロープウェイ往復料金込で3,000円。プラス1,500円で飲み放題。
松山の夜景を眺めながらのビールはさぞかし格別の気分であろう。
「天空のビアホール」のコピーもなかなかグー。

夕焼け色に染まろうとしつつある遠方の海を眺めながら、しばしぼんやりと過ごした後、下山に移る。
17:18、大師寺に到着。

途中、コミュニティーセンターの図書館へ立ち寄ってから帰宅。
 

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