大熊山南の無名峰、塩ヶ森(川内町)【平成13年(2001)9月1日】
(雑記)
朝5:00に携帯電話のベルが鳴る。会社からの呼出である。
最近は土日になると、必ずといっていいほど呼出がかかるので、おちおち山に行ったり、探訪したりもできない。
9:30頃、仕事を終え、身体を休めようとも思ったが、「ストレス発散も大事だ!」と思い立ち、同僚のナベさんに電話をかける。
「もしもし。昨日・今日はどこも行っとらんの?それじゃ、大熊山にでも行きません?」
と強引に誘い出し、OKの返事を貰うと、すぐさま自宅へと着替えに帰り、ナベさんの家まで迎えに行く。
10:30頃、松山市を出発。県道・伊予川内線を東進し、途中コンビニで食事・飲み物を調達。11:00に川内町則之内で国道11号線に合流後、井内へ向けて右折する。
西谷小学校の脇より、奥惣田谷へ向けての車1台分の幅員の頼りない町道(但し舗装はしっかりしている)を進む。大元神社のところより左折して、更に奥へと進む。
やがて、ちょっと幅広の三叉路のところに「大熊山登口」と書かれた木製の手作り看板を発見。ここに車を停める。
この看板の矢印通りに進むことも検討したが、天の邪鬼な僕達。折角来たからには、行きと帰りは別々のルートを通りたい。それならば、この矢印に逆らって川沿いに上り、東側から山頂を攻めて、西側尾根経由で下ろうではないかと目論んだ。
しばらく舗装道路を歩くと、沢に合流。更に先へと林道が続いている。砂防ダムを2つ通りすぎて、伐採地の中を進んでいく。途中で左に折れる道があったので、そこを上っていくが行止り。仕方なく分岐点まで引き返す。この先、川沿いに上っても同じように道が途切れるのではないか...。ふと対岸に目をやれば、伐採林の中に、沢沿いのトラバース路らしき道が見える。うん、あれが登山路に違いないということで、更に砂防ダムまで引き返す。おかげで40分近くのロスタイムである。
砂防ダムより、左岸の杉林に軌道を移す。沢を渡り、道なき急斜面を上ると石崖積み3段ばかりの竹林に出る。そこを抜けると何やら登山道らしき道に出た。この道に違いないと確信を持ち、杉林の中を行く。しばらくすると、先程目にした伐採林の明るい空間に出る。しかし、どうも先程見たトラバース路らしき道よりもだいぶん上に上がってきている。
まあ、どうにかこのまま道をトレースしていけば辿りつくだろうと、伐採地と杉林の境界沿いにどんどん急斜面を上っていく。しかしながら余りにも急斜面すぎて思わず息があがってしまう。
道が伐採地の方に折れているように見える所に来た。不安感はあったが、方角としては目的とする方向だ。うん、間違い無い...と薮こぎ必至で敢然と立ち向かうが、棘を持った雑木も多く、迂闊に手を出すと痛い目を見てしまう。迂闊に手を出さなくとも、容赦無く柔肌を引っかいてくれる。ハゼの木やカヤなども多く、半袖シャツの僕にはたまらない。
「どうする?このまま進む?」と弱音交じりでナベさんと相談しつつも、ここまで来たからには強硬突破するしかない。薮を掻き分けぜぇぜぇ言いながらひたすら上っていく。時折後ろを振り返りながら、番駄ヶ森方面の風景で疲れを癒す。
途中、道の脇に一輪のヤマホトトギスを発見。こんな里山にも咲いているのかと、感動してしまう。このような花を見つけるということは、標高は1000m近くになっているということだろう。しかし、目標とする大熊山からは段々と遠ざかっている。地図と照合しても、確実に逆方向に進んでいる。何とか北斜面を巻いて大熊山の尾根に辿りつきたいものだ。しかし、行く手は伐採地の薮が延々と続いている。仕方ないので、この山の尾根に取り付いて、杉林の中を行くしかない。
歩き始めて2時間近く。やっとこさ、杉林に到着。踏み跡というか、登山道というか、それともケモノ道というべきか、うっすらと浮かぶ林の中の道を進んでいく。
途中の小ピークで一休みした後、更に先へと進む。しかし方角的には南東の方向。何とか東に逸れていきたいものだ。途中でそれらしき分岐を見つける。やがて雑木帯に移り、道は更に不鮮明になる。
しばらくすると沢の音が聞こえてくる。おそらく、登り口で渡った沢の支流であろうが、辺りは木々で遮られているので位置関係が全く掴めない。
沢を渡り、更に雑木帯の中を巻いて進む。少し進むと、ほんの少し明るい空間が見えてくる。しかし、その先は谷になっており、仕方なく稜線に添って南へと急斜面を上って行くことにする。高度を上げるに従って、段々と道は不明瞭さを増して行く。
そして、1100mのピークに辿り着く手前のところで、スズタケや低木で覆い被さってしまい、完全に道は途切れてしまった。
敢え無く、これ以上の歩きは断念。
彼是もう3時間近く歩いている。空腹も押し寄せてきている。
なんとかメシが食えるような落ち着ける空間を見つけようと、上ってきた道を引き返すのだが、薮だらけであり腰を下ろすような場所はどこにもない。おまけに上ってきた道さえも満足に見出せない。
なんとか、沢まで戻ってきたところで昼食に移る。
食事の途中で、ガスが押し寄せ、おまけに雨まで落ちてくる始末。まぁ、木々が頭上に覆い被さっているので、我慢できる範囲である。
空腹を凌いで、ゆっくりと身体を休めて下山へと移る。
上るときよりも、ほんと、道が見出しにくい。どこをどう上がってきたかも思い出せない状態である。危険が無いようにと出来るだけスギの植林帯の中を進むのだが、道に迷うことしきり。
それでも不思議なもので、何度も見覚えのある場所に合流する。
伐採地の中は、先程の棘・ハゼ・カヤの悪環境に加え、葉が雨に濡れていて下半身を容赦無くベトベトにしてくれる。地面も雨で柔らかくなっており、何度も尻餅をついてしまう。
七転八倒しながらも、どうにかこうにか登り口のところに辿りつくことができた。一時は遭難してしまうのではないかと不安にもなったが、こんなときは二人で登っていると心強い。
まぁ、目的地には辿り着けなかったが、こんなスリルのある山登りも悪くはない。
しかし、次回はちゃんと標識に従って大熊山へチャレンジしよう。
【駐車した場所付近で見掛けたモノ】
●瀧権現
・昭和25年の石灯篭有り
●庵(額が掲げられているが、名は判読不能)
・安政12年の常夜灯有り。
・明治19年の法華経塔有り。
【オマケ】
・山登りに来たのに、三角点の標石を一度も見ないというのでは面白くない。ということで、帰りがけに塩ヶ森へと足を運ぶ。
雨は止み、遠くは石鎚の山々から皿ヶ嶺に至るまでの連峰を見渡せたので、まぁまぁ満足である。
・塩ヶ森へと向かう途中、久尾の集落の道沿いで「久尾の彼岸桜(川内町指定天然記念物)」を発見できたのは収穫。
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【コースタイム】
迷い道を彷徨う山行だったので、参考コースタイムは省略! |
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