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こたろう博物学研究所
探訪記録:20030503

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平家平/冠山登山【平成15年(2003)5月3日】


 5:00 自宅を出発。松山IC〜西条IC〜瀬戸内バス新居浜営業所へと向かう。
 6:25 新居浜市住友病院前に東京からの夜行バス(パイレーツ)が到着。平山さん、松林さん、表さんの3人がバスから下りてくる。登山口まで車を出すつもりだったのだが、既にタクシーを予約済とのこと。確かに営業所前に既にタクシーが到着している。キャンセルするのは確かに忍びない。
 3人はタクシーで、それを追っかけて中七番へと車を走らせる。

 7:30 中七番到着。住友の森フォレスターハウスよりやや下ったところの路側に駐車する。フォレスターハウスの背後には、平家平〜冠山にかけての山々が悠然と佇んでいる。そしてアケボノツツジの花がぽつぽつと桃色に染めているのが見える。空は雲一つなく、突き抜けるような青空が広がっている。絶好の登山日和だ。

 8:00 登山開始。今日のルートは「平家平〜冠山」の順。大抵の人が「冠山〜平家平」のルートである。ナスビ平に自生しているカタクリの花が目当てで来山している人も多い。逆周りの人は殆どいない。
フォレスターハウスの庭園を抜け、奥七番川の左岸に続く遊歩道を歩きはじめる。
 まもなく階段を降り、やや引き返したところの橋を渡る。奥七番川の右岸を進んでいくと、分岐にでくわす。標識が極端に少ないこの森の中に唯一「平家平へ」の標識が建っているだが、なぜか「先に登るのは冠山だか左折だな」と妙な思い違いをしてしまい、迷うことなく左折。
 シャクナゲの花が咲いている。季節が少し早いような気がするが、これは西洋シャクナゲを植栽したものだろうか。急な階段沿いを花を愛でながら順調に登っていったのだが、途中から怪しげな雰囲気になってきた。そして道は段々と高度を下げて暗い森の中へ。こりゃ完全にフォレスターハウスまで戻ってしまうではないか。遠方より夜行バスで来ている3人に申し訳無さを感じながら、標識のある分岐のところまで引き返すことにする。まぁシャクナゲの花が見れたことだけが唯一の救いである。

    (あとから「住友の森エコシステム案内図」を眺めてわかったことだが、この迷い込んだ林は、エコシステム対象山林のうちの「原生シャクナゲ林」「天然ヒノキ保残施業林」であった。他の冠山・平家平への登山者はまず訪れないであろうことを考えると、ちょっと得した気分へと変わった。)
 気をとりなおし、沢に沿って進む。8:37 丸木橋を渡り、電源開発鰍フ送電線標識(213,214)のところの分岐を左(213側)へ。
 8:58〜9:09 沢の辺で小休止後、再び歩き始める。1ヶ所沢渡りをした後、9:25 鉄梯子(2基)に到着。梯子を上り終えてふと沢のほうを振り返ると、結構落差の大きい滑ら滝が新緑を携えた木々の向こうに隠れているのが見えた。
 植林帯の薄暗い空間をだらだらと上っていく。やがて小木帯へ。段々と周辺が明るさを取り戻し、眼前に美しい山稜の景色が広がってくる。
 9:45〜10:00 鉄塔(213)到着。15分ほど休憩をとることにする。綱繰山〜チチ山の別れ〜平家平と続くなだらかな笹尾根を指呼の間に望む。チチ山の別れより綱繰山・西山方面へと向かう尾根にはアケボノツツジ群落があるのだろう。美しいピンクに染まっている。歩き疲れもどこへやら、帰りはあの尾根を通ってみようかなどと考えてしまう。
※電源開発叶シ日本送電管理所 連絡先 電話(昼間) (086)472-6511

 持久戦を再開する。変わりばえしない登山道をただひたすら登っていく。10:18 2番目の鉄塔(212)の横を通りすぎる。樹林は芽吹きを迎えようとしているブナの樹林帯へと変わる。ふと左手に目をやると、木の間より別子ダム湖(銅山川上流・七番川)が見下ろせる。さあ、ブナ林の中をもう一頑張り。道端にはエンレイソウ、タムシバ(オオカメノキ)の姿も見えてきた。

 10:45 平家平〜三ツ森中間の尾根に辿り着く。喉の乾きを癒すため小休止(5分)。その間に10数名の御一行様がぞろぞろと上がってきて、ノンストップで追い越していく。

 尾根道は快適だ。道端にはあちこちでギボウシが大きく葉を膨らませている。
 途中で黄色い小花をつけた木を見かけた。アブラチャンだろうか、ダンコウバイだろうか、区別がつかない。
 間もなく360°のパノラマの展望が開けてきた。実に爽快だ。後ろを振り返ると、三ツ森山へ向けての脊稜がピンク色に染まっている。ここでも甘い誘惑に駆られそうになってしまう。

 11:40 平家平[標高 1,692m]到着〜12:45 昼食
 ゴールデンウィークの後半初日ということもあって、山頂は大盛況である。20人以上が山頂に滞在しているような山へは殆ど出向かないだけに、少々面食らってしまう。弁当を広げるようなスペースは殆ど余っていない。取り敢えず三角点とれいほくネーチャーハントの標識だけカメラに収め、山頂よりやや西へと下りたところの笹の中に陣取ることとする。

 1時間の食事休憩をとった後、冠山を目指して歩きはじめる。アップダウンが少ないとガイドブックに書いていたが、思ったよりは起伏がある。決して楽ではない。途中、逆進行する登山者と道を譲り譲られしながら辛抱強く歩いていく。
 尾根道途中に小規模ながらアケボノツツジ群落が有った。5、6分咲きといったところだろうか。それでも間近で柔らかで可憐な花を眺められるのだから、嬉しいことである。
 南側の林は芽吹きを迎えたブナの間が白と茶色と黄色とを混ぜ合わせ、いい色合いに染まっている。その中に所々モミが顔を突き出している。

 13:33 冠山[標高 1,732m]到着〜13:40 記念撮影等
 山頂は狭い。7〜8人が精一杯である。
 三角点は無いが、れいほくネーチャーハントの標識は立っているので、ここで記念撮影することにする。ちゃんと冠山に登った証拠を残さねばならない。短い滞在ではあったが、ひっきりなしに登山者が訪れる。10分足らずの間に、続けざまに2〜3組の夫婦連れのカメラのシャッターを押してあげるほどである。

 一ノ谷越へ向けての下山途中、振り返ると冠山南面は岩壁が切り立っている。この角度から見るとまさに「冠山」である。
 うれしいかな、冠山西側でもアケボノツツジの小トンネルが迎えてくれた。先ほどまでの恨めしい思い、そう三ヶ森や西山・綱繰山への浮気心がここでが吹っ飛んでしまった。小木ながら大きな花びらを青空に向けて目いっぱい広げている。透き通るようなピンク色である。

 段々と高度を下げていき、14:10 一ノ谷越到着。平山さんらとここで別れ、中七番へ向けて下りていく。
 心地よいブナ林が続く。日は差し込まないのだが、歩き続けて身体が温もっているせいか、妙に暑苦しさを感じる。ところが谷には残雪の塊がまだ所々残っている。

 14:24 銅山川源流のところに出る。ここにはあかがねの川協議会の建てた源流碑が建っている。
 
「あかがねの川協議会
国土交通省吉野川ダム統合管理事務所
水資源開発公団池田統合管理所
愛媛県
川之江市
伊予三島市
土居町
新宮村
別子山村
新居浜市
徳島県山城町
銅山川上水道企業団
銅山川工業用水道企業団
銅山川疎水組合
住友林業株式会社新居浜事業所
平成13年8月吉日
あかがねの川協議会 会長 篠永善雄
吉野川水系銅山川源流の位置
地番 宇摩郡別子山村乙555番地69
東経 133度18分22秒
北緯 33度49分16秒
標高 1453m

 14:43 ナスビ平まで下りてきた。道の傍らには、至るところにカタクリの花が残っている。少々、紫色が薄らいでいるようだが、初めて生で見るカタクリの花。まるで、風に乗って下降する鳥のような形である。妖艶な花にすっかり見とれてしまう。

 ナスビ平のところで分岐になっているが、赤テープが巻かれている左側の道を選ぶことにする。
 下山路途中には小瀑がいくつか架かっている。水量は少ないが落差はなかなかのものである。名前がわからないのが悔しいところである。

 だいぶん下りてきて、沢の音も耳に入ってくるようになった。先ほど歩いていた尾根稜線を木の間より時折見えてくる。
 そうこうしているうちに、作業道終点に辿り着いた。そこから赤テープの巻かれた山道を下りていくと、間もなく沢へと至る。そして見覚えのある道へと合流し、16:00 住友林業フォレスターハウスへと戻った。

 そして下山届をした後、松山への帰途につく。
 
住友の森エコシステム(FOREST ECOSYSTEMS)案内図

「ここ別子山中七番は、「住友の森づくり」ゆかりの地です。明治のはじめ以来、植林再生産を永久的にくりかえす「保続林業」−(SUSTAINBLE FORESTRY)の思想をつらぬき、木材生産と自然環境との調和共生に努めてまいりました。皆さんとともに森林系をめぐる諸機能(FOREST ECOSYSTEMS)について考え、これからの社会にふさわしい森林管理のかたちを目指して、「住友の森 エコシステム」をテーマに「記念広場」・「フォレスターハウス」を開設しました。より豊かな森をつくるために、新しい森文化・地球文化の発信基地となることを願っています。 住友林業株式会社 山林・環境本部 山林部

■エコシステム対象山林
・中七番地区 1,477ha
・筏津地区 99ha
・旧別子メモリアルゾーン 314ha (計1,890ha)

■森林の区分
・記念広場 10ha
・高伐期複合構造林実験林 107ha
・天然ヒノキ保残施業林 171ha
・原生シャクナゲ林 126ha
・ブナ・モミ・ツガ原生保護林 347ha
・非皆伐優良大径材生産林 884ha

 大永山トンネルを抜けるとどうしても綱繰山〜西山のアケボノツツジの群落が気になり、路側の広場に車を停めてしばし眺める。もの凄い群生量である。来年は絶対に行かなければ!
 

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